ダイソンと言えば、サイクロン型掃除機を売り出して一世を風靡したイギリスの“超”有名企業ですよね。
その後も、羽根がない扇風機など画期的な新商品を続々と発表しています。
そのダイソンが自社掃除機の特許を巡り、韓国のサムソン電子を訴える騒ぎがありました。
今回は掃除機の特許に関するお話です。
2013年2社の特許争いが勃発
「掃除機の特許を侵害された!」とダイソンがサムスンを訴えたのは2013年8月のこと。
自社の特許技術が真似された、というのがダイソンの主張でした。
技術をコピーされた、とダイソンが訴えるサムスンの掃除機は、「モーションシンク」。
ただし、同年11月にはダイソンは訴訟を取り下げます。
今度はサムソンがダイソンを訴える!?
ところが、訴訟騒動に怒ったサムソンは「ダイソンは虚偽事実を流布した」と訴え、100億ウォン台の損害賠償請求訴訟を起こしました。
ブランドイメージを傷つけられた、というわけです。
この訴訟を受け、ダイソンは新たに実用新案を侵害された・・・との訴訟を起こし、特許騒動は加熱します。
結局裁判所の調停で解決
結局、韓国の裁判所の調停によって、騒動は決着。
「サムスンは自社の特許を侵害していない」と認めたダイソンは、サムスンの訴訟費用を支払うことになりました。
実際、サムスンの掃除機の見た目はダイソンの掃除機とそっくり。
この騒ぎを見守っていた消費者もモヤモヤする結果になり、
- 「あれだけ似ているのになんで特許が無効に?」
- 「ダイソンはサムスンを利用して掃除機を宣伝したのか?」
- 「サムスンの法の目をかいくぐる力がすごい!」
などと様々な意見が飛び交うことになりました。
ダイソン掃除機の特許とは
ダイソンは100個前後の特許を取得しているので、複数技術を一台の掃除機に搭載することも珍しくありません。
例えばDC63に搭載されているサイクロンテクノロジーにも、3つの特許が使われています。
【特許番号】特許第4546015号(P4546015)
【登録日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【発行日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【発明の名称】流体の流れから粒子を分離する装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れからごみ及びほこりの粒子を分離する装置を組み込んだ家庭用電気掃除機において、上流サイクロン分離器及び複数の下流サイクロン分離器を備えていて、これらは相互に平行に配置され、各々の下流サイクロン分離器は、一部が、上流サイクロン分離器の内部に突き出ていて、各々の下流サイクロン分離器の縦軸は、上流サイクロン分離器の縦軸に対して傾けられていて、下方向で相互に近づいていることを特徴とする家庭用電気掃除機。
【特許番号】特許第3940082号(P3940082)
【登録日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【発行日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【発明の名称】吸引掃除機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有し、かつ内部に相互に並行に配置された複数のサイクロンを備えたサイクロン式分離器が組み込まれてなる吸引掃除機において、
各サイクロンが外壁を有したテーパ状の本体を有し、かつ、少なくとも各外壁の一部が前記外面の一部を形成しており、
各サイクロンは、前記サイクロン式分離器の軸線方向に傾斜している軸線を有していることを特徴とする吸引掃除機。
【特許番号】特許第5319511号(P5319511)
【登録日】平成25年7月19日(2013.7.19)
【発行日】平成25年10月16日(2013.10.16)
【発明の名称】吸引掃除機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有し、かつ内部に相互に並行に配置された複数のサイクロンを備えたサイクロン式分離器が組み込まれてなる吸引掃除機において、
前記サイクロンそれぞれが、外壁を有したテーパ状の本体を有しており、
前記サイクロンが、一体成形部品内に組み込まれており、
前記一体成形部品が、前記吸引掃除機の前記外面の一部を形成している成型された外壁を備えており、
前記成型された外壁が、前記サイクロンそれぞれの前記外壁の少なくとも一部分を含んでいることを特徴とする吸引掃除機。
現在特許が搭載されている最新機種はダイソンV6シリーズ、DC74、DC63、DC62、DC61なので、新しい掃除機を購入する時の参考にして下さい。
ダイソン掃除機の特許まとめ
ダイソンとサムスンはかなり揉めたようですが、ダイソンの技術が世界トップレベルであることは間違いありません。
掃除機の性能試験で唯一国際規格に従い、吸引力や集塵性能テストを実施しているところも注目ポイント。
今後もダイソンが発表する新しい掃除機をフューチャーしていきたいと思います。