先日知り合いの個展を見に行きました。
絵も素敵でしたが、
美術の道で家族を養えるほど成功しているのがすごい・・・
と本当に思いました。
昔の絵は自由に使ってOK
画廊のオーナーと偶然著作権の話になりましたが、
なんと絵画の著作権は一般的に著作者が亡くなってから50年間だそうです。
死後50年間は著作権が保護され、配偶者や子供も利益を得ることができますが、
その権利も50年経てば消失。
つまり、500年前以上前に描かれたダ・ヴィンチの「モナリザ」も
自由に使って良いことになります。
確かにモナリザの絵はあちこちで使われていますよね。納得!
絵画の特許はとれる?
それでは、絵画の特許はとれるのでしょうか。
結論からお伝えしますと、答えは「No」です。
絵画のような知的財産に関しては、新しい手法を使った絵画だとしても、
技術的創作とはみなされず、特許も実用新案も取ることができません。
絵画の制作方法については特許がとれる
ただし、絵画の制作方法に関する特許はあります。
東京藝術大学大学院美術研究科保存修復日本画研究室では、日本の古墳壁画に多大なる影響を与えた高句麗古墳壁画の調査・記録を続けてまいりました。世界遺産にも登録されている高句麗古墳群には数多くの古墳壁画があります。これらの古墳に描かれた壁画は、我々の文化のルーツを知る上でも非常に重要な絵画ですが、壁画という性質と文化財保存の立場から、移動したり容易に公開したりすることができません。
その解決策のひとつとして摸写やレプリカなどの製作が考えられますが、従来行われてきたような手作業での摸写製作方法でこのように数多くの壁画を摸写するには、大変な時間と労力が必要となってしまいます。また近年の写真や印刷技術の向上によって精密な複製が可能となりましたが、凹凸のある岩や岩絵具などの質感を表現することができませんでした。そこで当研究室では、迅速で、その上岩や岩絵具などの質感を表現することのできる摸写・レプリカの製作方法を開発いたしました。この方法により、岩や岩絵具の質感を薄い紙の上に表現でき、岩を非常に薄く軽く表現することが可能となりました。またこれまでの手作業で行う摸写手法とは異なり、迅速で正確に製作することができます。壁画への利用の他にも、岩を摸した壁紙材や建築材料としての利用も考えられます。 これにより、貴重な文化財であるオリジナルの壁画を現地保存したまま、同じ質感の絵画を多くの方へ公開することができ、絵画の教育普及活動にも貢献できると考えております。
東京芸術大学が出願した特許で、貴重な古代の壁画の模写、レプリカの制作方法に関する特許です。凹凸がある岩や岩絵具を使った壁画の質感まで正確に模写するのは至難の技ですが、この特許技術の開発によって質感までリアルに紙の上に表現することに成功したそうです。
質感を表現した素材の製造方法及び絵画の製作方法、質感を表現した素材及び絵画、建築用材料
特許 – 権利維持
JP20090048843 – 特願2009-048843 (2009-03-03) JP2010201750 – 特開2010-201750 (2010-09-16) JP4559524B – 特許4559524 (2010-10-06)https://patentfield.com/patents/JP20090048843
最新技術が古代の芸術を支えている、と知ると感慨深いものがありますよね。文化を残すためにも高い技術力が必要なのだと思い知らされるニュースです。
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